ロシア浪人の手記

ロシアの現在について幅広く知り、考え、紹介するブログです

書評ードミトリー・ヴェルホトゥーロフ『シベリア独立論の昨日と今日』(Дмитрий Верхотуров"Идея сибирской самостоятельности вчера и сегодня")

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表紙

 

 近所の古本屋が閉店セールをやっていたので買っておきました。2006年の出版ですが、著者のドミトリー・ヴェルホトゥーロフは現在もジャーナリストとして活動しているようです。著者自身もシベリア(クラスノヤルスク)出身とのこと。

 

 シベリア独立論というのは具体的な政治運動としては存在していません。そもそも、そうした分離主義は一般に忌避されており、シベリア独立論はアクチュアルな問題とは言いがたいでしょう。とりわけ現在は中国脅威論が高まっており、「シベリアが独立したところで中国にとられるだけ」とロシア人の態度は冷笑的です。しかしながら、分離主義への忌避や中国脅威論の高まっている現代のロシアだからこそ、本書のような冷静な意見も存在することは注目に値すると言っていいでしょう。

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偽ドミトリー

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”最も信用できないフレーズ”

 

ル・ネット(ロシア語圏のインターネット)で拾った画像です。左上→右上→左下→右下の順で、「明日返す」、「私があなたと一緒なのはお金のためじゃない」、「(徴兵で軍に行く彼氏に)あなたを待ってる」、「我こそはツァーリの息子、ドミトリー(ヤー・ツァレーヴィチ・ドミトリー)」です。さて、この「ドミトリー」とは何者なのか。詳しい歴史についての説明はこちらの世界史FLASHに譲るとしましょう。

 

 

www.geocities.jp

 

要するにイヴァン雷帝亡き後の混乱した時代(”スムータ”と呼ばれる。”動乱”の意)に乱立した、ツァーリのご落胤を僭称する者たちですね。僭称者自体は、例えば中国史において、前漢の滅亡後、皇帝の子”劉子輿”を自称した王朗など、世界史にはありふれた現象ではあります。

 

ja.wikipedia.org

 

とはいえ、合計で3人もの出現とはなかなか他に例がないのではないでしょうか。ところで、日本史における戦国時代→徳川家の支配→明治維新という基本的な流れと、ロシア史におけるスムータ→ロマノフ家の支配→ロシア革命という流れはどこか相似をなしているように感じられますね。

Корпоратив(コルポラティーヴ)のうた

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今回ご紹介するロシア事情はКорпоратив(コルポラティーヴ)。

 

ロシアでは日本のように頻繁に職場での飲み会というものが行われません。同僚と酒を飲みに行くという機会自体が稀です。例外にあたるのがこのコルポラティーヴ。職場の同僚たちとのパーティのことで、年末に行われます。忘年会のようなものですね。動画の映像とВодка(ウォッカ)!Пиво(ビール)!と連呼する歌詞は、飲酒に関するロシアへのステレオタイプを随分と助長するものになっていますが、実際はこんなにハメを外しまくるコルポラティーヴばかりではないようで、あくまで一年の疲れを労い合うイベントとして愛されているようです。

 

Мат講座(2)ーХуйня(フイニャー)ー

今日ご紹介するМатはХуйня(フイニャー)。とりあえずは、こちらの+100500(ブロガー、Максим(マクシーム)が運営するYoutube上の動画紹介チャンネル)の動画をご覧下さい。

 

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親ロシア派武装勢力応援ソング『起ち上がれドンバス!(Вставай Донбасс!)』歌詞翻訳

ショッキングな映像が含まれています。予めご留意ください。

 

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ウクライナ東部紛争についての映像がコンパクトにまとまった動画ですね。

 

動画内で使われている曲、『起ち上がれドンバス!(Вставай Донбасс!)』を歌っているグループについては、調べたものの良く分かりませんでしたが、この動画をアップしている団体「Оплот(オプロート)」については分かりました。いわゆるマイダン革命に強く反対する立場の団体でハリコフ市に拠点があり、創設者で元内務省の士官エフゲーニィ・ジーリンは「強く生きよ!」をスローガンに総合格闘技の道場なんかも経営しているようです。ウクライナ東部紛争では実際の戦闘にも参加していたようですね。

 

さて、とりあえず歌詞を翻訳し、紹介しましょう。逐語訳はせず、意味を重視しました。

 

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